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■決算日の異なる連結子会社の処理の各社の状況について(有価証券報告書の開示状況の分析)

決算日の異なる連結子会社は、どうしているのが多い?

決算日の異なる連結子会社は、大きく子会社の決算を基礎として連結する場合と、仮決算をして連結する場合があるといえますが、実際の開示状況を調べてみました(有価証券報告書より)。

Ⅰ.連結財務諸表等規則における取り扱い

連結子会社は海外の場合、当然日本と決算月が異なることは一般的だといえます。また、連結財務諸表規則では以下のとおりとなっています。

原則:親会社の決算日に仮決算を実施

容認:決算日の差異が3ヶ月を超えない場合、子会社の決算を基礎として連結する。ただし、決算日が異なることにより生ずる連結会社間の取引に係る会計記録の重要な不一致項目について、必要な修正を行う。

・子会社の決算期を変更する方法により解消することも可能。

・IFRSでは決算日の統一が原則として求められている。

ただ、実務的には、必ずしも原則処理をしている会社が多いとはいえないのではないでしょうか。そこで、今回は決算日の異なる子会社に関して、連結上どの容易に処理しているかという点について、分析してみました。なお、データとしては少し古いので、利用には留意してください。

 

Ⅱ.過去6年間の各社の開示状況の推移(会社数)

2006年 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年
子会社の決算を基礎として連結 1,328 1,365 1,331 1,302 1,294 1,265
仮決算 279 322 319 309 311 332
決算期の変更 89 108 98 95 87 103
連結会社総数 2,727 2,763 2,664 2,603 2,524 2,460

α:有報サーチ

β:有価証券報告書 決算日:3月31日

γ:子会社の決算を基礎として連結 「子会社の事業年度 AND 調整」

仮決算           「子会社の事業年度 AND 仮決算」

決算期の変更         「子会社の事業年度 AND 決算 AND 3月31日に変更」

 

Ⅲ.実務上のポイント

・子会社の決算を基礎として連結…重要な不一致項目は修正するため、差異となる期間の情報の把握が必要、また、不一致項目の調整、連結グループ全体としての重要性の観点から判断。

・仮決算…親会社の決算日に本決算とほぼ同等の作業負担を要することになる。

 

Ⅳ.所見

子会社の決算を基礎として連結する場合における不一致項目の修正は必ずしも容易ではないため、子会社の数が少なく各子会社の状況が連結に与える影響が大きい場合や、子会社との取引が多く、連結に与える影響が多い場合には仮決算をする方が、連結財務諸表が正確に作成できると考えられ、そうでなければ、子会社の決算を基礎に連結することが現実的と考えます。なお、結果としては子会社の決算を基礎として連結する方が圧倒的に多い状況となりました。

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