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仕訳テストとは?~経営者の内部統制の無効化リスクに対する手続~

仕訳テストとは?

経営者の内部統制を無効化に関係したリスク対応手続として、監査基準委員会報告書240『財務諸表監査における不正』において、「仕訳テスト」が求められています。

仕訳テストとは、一般的に、財務諸表作成プロセスにおける重要な仕訳入力及び修正について検証する手続きのことを指します。手作業で実施しても構わないですが、仕訳明細の数が多くなるとCAATで実施するのが効率的であり有効性も増すと言われています。監査における不正リスク対応の手続の一環で、会計監査では仕訳テストを必ず実施するようになってきています。

《経営者による内部統制の無効化に関係したリスク対応手続》

A.経営者は、有効に運用されている内部統制を無効化することによって、会計記録を改ざんし不正な財務諸表を作成することができる特別な立場にある。経営者による内部統制を無効化するリスクの程度は企業によって異なるが、全ての企業に存在する。内部統制の無効化は予期せぬ手段により行われるため、不正による重要な虚偽表示リスクであり、それゆえ特別な検討を必要とするリスクである。

B.監査人は、経営者による内部統制を無効化するリスクに対する監査人の評価にかかわらず、以下の監査手続を立案し実施しなければならない。
(1) 総勘定元帳に記録された仕訳入力や総勘定元帳から財務諸表を作成する過程における修正についての適切性を検証するために以下の手続を立案し実施すること。

① 財務報告プロセスの担当者に対して、仕訳入力及び修正のプロセスに関連する不適切な又は通例でない処理について質問すること。
② 期末時点で行われた仕訳入力及び修正を抽出すること。
③ 仕訳入力及び修正を監査対象期間を通じて検証する必要性を考慮すること。

C.詳細テストを実施する仕訳入力及びその他の修正を識別して抽出し、これらの裏付けを適切に検証する方法を決定する場合には、以下の事項が関連している。
・ 不適切な仕訳入力やその他の修正がもつ特性
不適切な仕訳入力やその他の修正は、例えば以下のような識別できる特性をもっている
ことが多い。
(1) 取引とは無関係な又はほとんど使用されない勘定を利用した仕訳入力
(2) 入力担当者以外によって入力された仕訳入力
(3) 期末又は締切後の仕訳入力のうち、摘要欄の説明が不十分な仕訳入力
(4) 未登録の勘定科目を用いて行われる仕訳入力
(5) 同じ数字が並ぶ数値を含んでいる仕訳入力(例えば、0000や9999)

・ 非定型的な仕訳入力やその他の修正
非定型的な仕訳入力は、月次の販売、購買、支払といった経常的な取引を帳簿に記録する仕訳と同じレベルの内部統制では対応できないことがある。

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