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■会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準(企業会計基準第24号)

1.目的と対象

・趣旨、目的=比較可能性の向上、予測に役立つ情報の提供のために過去情報の修正。

・従来の問題点=変更や訂正の影響を、全て当期にインパクトさせていた。

・適用時期=H23年4月から開始する事業年度の期首以後に行われる変更及び訂正に適用。

基準の対象            遡及処理(原則)

・会計方針の変更    → 遡及適用する

・会計上の変更  ・表示方法の変更    → 財務諸表の組換え(遡及処理する)

・会計上の見積りの変更 → 遡及処理しない

・過去の誤謬の訂正            → 修正再表示(遡及処理する)

 

2.会計方針の変更(○→○) 例)総平均法から先入先出法へ変更

従来=当期の特別損益で調整 → 新基準=当初から適用していたかのように財務諸表を遡及修正

類型=会計基準等の改廃による変更、自発的な変更の2パターン

 

3.表示方法の変更   例)「その他」に含めていた長期貸付金を独立掲記

従来=注記のみ要求 → 新基準=注記+表示の組換え

*会計処理の変更を伴う表示の変更は会計方針の変更に該当する

 

4.会計上の見積りの変更新たに入手可能となった情報に基づいて見積りを変更すること。

例)耐用年数を10年から6年へ変更

新基準による変更点はない。従来と同様に、影響額は将来に向けて認識する。

 

5.過去の誤謬の訂正   例)前年の売上原価が過小だった

従来=当期の特別損益で調整 → 新基準=過去の財務諸表の該当部分を修正

ただし重要性が高くない場合は修正再表示せず、適切な損益区分での調整ができる。

 

6.原則的な処理が実務上不可能な場合

・ある期首時点の累積的影響額は算定できるが、過去の各期首時点での累積的影響額が不明な期間がある場合は、累積的影響額が算定可能な期首から遡及適用する(部分的遡及適用)。

・上記の部分的遡及適用が出来ない場合、遡及適用ではなく、実行可能な当期首以前の日から将来にわたり新たな会計方針を適用する。

 

 

以上

 

留意事項】

①会計上の変更

・特に会計方針の変更は影響が大きいため、事前相談。(例:棚卸資産の評価基準の変更等)

・未適用の新基準(決算日現在で公表のもの)についての影響を注記するため、新基準の公表に留意。

<今後成案になる予定の基準>

公開草案:公正価値測定、退職給付

論点整理:引当金、収益認識、無形資産、金融商品 等(ASBJのHP参照)

 

②過去の誤謬の訂正

・重要性の判断=会社で基準を決める(質的重要性と金額的重要性)。

ちなみに、重要性の判断は監査上重要な事項であり、単純には決まらない。

 

③その他の論点

(1)税務上の論点(H23税制改正大綱が不確定)

・申告税額への影響(連結仕訳や否認項目は影響なし)

・修正申告、更正の請求の期限と性質の問題

・確定決算主義との関係(損金経理要件)

(2)内部統制上の論点

・内部統制への影響=誤謬が発生した内部統制が評価範囲となっていた場合、現在の評価の見直しが必要。

(3)実務上の論点(遡及仕訳の取扱い)

・遡及仕訳の取扱い=遡及仕訳をどのように帳簿に反映するか。

(4)遡及基準に対応した改正

・一株純利益、セグメント、株主資本等変動計算書

注意 : なお、本記事は過年度の研修のために作成した資料であるため、その時点の記事であることにご留意ください。

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