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■居住者 非居住者

 

所得税法においては、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の4つに分けてそれぞれ納税義務を定めています(法人でない社団や財団(任意団体等)などで代表者や管理人が決められている場合には、法人と同じように取り扱われます)。

 

法人については、「本店所在地主義」により、本店所在地がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定を行います。

 

一方、個人については、所得税法にて「居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続き一年以上居所を有する個人」として、居住者以外の個人を非居住者と定めています。

ポイントになるのが住所と居所ですが、まず住所は、個人の生活の本拠をいい、生活の本拠に該当するかどうかは客観的な事実によって判定をすることとなります。つまり、住所は、その人の生活の中心がどこにあるのかによって判定されます。

仮に、滞在地が2か国以上にわたる場合、その住所がどこであるかを判定するためには、職務内容や契約等を基に住所の推定を行うことになります。

もうひとつポイントになるのが居所ですが、居所は、その人の生活の本拠ではないが、その人が現実に居住している場所とされています。

 

また、居住者は、非永住者と非永住者以外の居住者との2つに分かれます。

非永住者とは、居住者のうち日本国籍がなく、かつ、過去10年以内の間に日本国内に住所又は居所を有していた期間の合計が5年以下である個人をいいます。

非永住者は、所得税法に規定する国外源泉所得(国外で生じた所得)以外の所得と、国外源泉所得で日本国内において支払われ、又は日本国内に送金されたものに対して課税されることとなっています

非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国内であるか日本国外であるかにかかわらず、全ての所得に対して課税されます。

なお、上記居住者以外の個人は非居住者となりますが、非居住者は、国内源泉所得に限って課税されます(外国法人についても同様)。

 

 

上記とは別に、租税条約の取扱いがあることも忘れてはなりません。そもそも租税条約においては、わが国と異なる規定を置いている国との二重課税を防止するため、個人、法人を含めた居住者の判定方法が定められています。詳細は、それぞれの租税条約により異なりますが、一般的には、次の順序で居住者かどうかを判定します。

 

個人については、下記の①から④の順に考えて、どちらの国の「居住者」となるかを決定します。

①恒久的住居

②利害関係の中心的場所

③常用の住居

④国籍

 

法人については、「管理支配地主義」により、相手国が法人を実質的に管理している場所がどこにあるかにより、内国法人又は外国法人の判定を行っている場合、上記の「本店所在地主義」と競合することになり、双方居住者の問題がでますが、その場合には、その法人を実質的に管理する場所のある国の「居住者」とみなすことになります。

以上

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