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■有価証券報告書の分析 引当金の各社の開示状況の分析

皆さんは、引当金はどこまで設定していますか。

引当金は以下の4要件に該当すると、設定する必要が生じますが、その要件は以下のとおりとなっています。

①将来の特定の費用または損失である

②発生が当期以前の事象に起因している

③発生の可能性が高い

④金額を合理的に見積もることができる

これらを、冷静に分析すると修繕引当金や将来の保証に対する引当金、返品や値引きに対する引当金など、いわゆる事業活動を行っていく上で必要となる引当金はかなり多いと思われます。

そこで、今回は引当金の開示状況について、他社がどのような状況下分析してみました。なお、データとしては少し古いので、利用には留意してください。

 

(資料Ⅰ 引当金諸勘定の開示推移)

α:日本公認会計士協会『有報データベース』

β:2007年度から2010年度までの有価証券報告書

γ:全開示社数…各年度4月1日~翌3月31日までに有価証券報告書を提出した会社

各引当金… 項目「連結B/S」OR「B/S」について、文字列検索で各引当金を検索

業種ごと分析…ここでいう「業種」とは、edinet分類(金融庁)に基づくものである。

 

・全体的に見て開示が増加している引当金が多い

貸引、人件費関連引当金を除くと、特定の業種に関連する引当金といえる。そのため、次資料では、特定の業種ごとに母集団を設定し、クライアントに関連があるのではないかと考えた引当金について分析を実施した。

 

*1(資料Ⅰ-1 製造業(業種)でみた製品保証引当金の開示割合)

・機械製造関係の会社については開示が増加傾向。

・規格製品については、当該リスクが高いといえるのでは

 

*2(資料Ⅰ-2 建設業(業種)でみた工事損失引当金等の開示割合推移)

・完成工事補償引当金について、引渡後、無償又は赤字での追加工事の発生はないか、

実績等を検討する必要がある

 

*3(資料Ⅰ-3 小売業(業種)でみたポイント引当金等の開示割合推移)

(ポイント引当金)

・posデータの蓄積等により、リスクを定量化できるようになってきたと考えられる

・IFRS上は、繰延収益(計上した期の売上をマイナス)として処理される

(店舗閉鎖損失引当金)

・金融危機以後、不採算店舗が増加しての動きと考えられる。また、当該項目については、引当金の他、資産グループの減損で対応している可能性もある。

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