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■私立幼稚園学校法人会計-個人立の会計処理④ 選択すべき会計処理方法(2つの会計帳簿の実務的な作成方法を含む)

個人立幼稚園の会計処理に関しては、相続税関連、所得税関連、学校法人関連と、大きく3つの関連規定等を考慮して選択していくべきと説明してきました。それでは、実際には具体的にどのような処理をしていけば良いのでしょうか。

あくまで私見となりますが、2つの帳簿作成するために必要な実務的な処理方法などについて、解説していきたいと考えて生きます。

 

☆学校法人会計を選択すべきか否かについて

先に解説したように、学校法人会計基準を適用するか否かで、大きな差があります。実際には、例えば、監督官庁への届出書類は場合によっては、資金収支計算書だけで良いということもありますが、そもそも資金収支計算書は貸借対照表が作成されていないと出来ません。なので、学校法人会計基準を選択する必要があると考えます。

また、日本公認会計士協会(昭和58年)「個人立幼稚園の会計処理に関する実務問答集」のなかでも、以下の説明があります。

 

1 会計帳簿

・ 基準に準拠した帳簿と暦年で作る税務上の帳簿を別個に作成しなければなりません。

・ そして、本報告は、さらに基準と税務上の会計の処理には多くの違いがあるので、税務申告用の帳簿を作成して、そこから基準の計算書類を作成することは好ましくない。

2 青色申告の簡易帳簿

・ 基準の帳簿としては、青色申告の簡易帳簿では不十分。

 

とされており、これらを、勘案しても、基本的には学校法人会計基準を適用し、基準に準拠した3月決算の帳簿と暦年で作る税務上の帳簿を別個に作成する必要があります。

 

☆2つの決算書を作成する具体的な方法

決算書として作成が難しいのは、学校法人会計基準に準拠した帳簿だと思います。なぜなら、学校法人会計基準に準拠すると、一取引二仕訳を意識する必要があり、一般的な会計ソフトを利用する場合には、これらの連動状況を意識し、正しく連動されていることを確認していくことが必要になると考えられるからです。

つまり、個人的には、具体的に、以下のとおりに処理するのが良いのではと思います。

①3月決算の学校法人会計用のソフトを用意し、期中はこちらで処理する。

一般的にはソフトの場合、資金収支方式と総勘定元帳方式と2つありますが、どちらを選択しても良い思いますが、学校法人の場合、資金の範囲が狭いため、資金収支方式との連動を重要視するのであれば、資金収支方式を選択し、その後の個人確定申告用の帳簿への連動を重視するのであれば、総勘定元帳方式を採用した方が良いと考えられます。

固定資産台帳に関しては、償却資産税の申告などもあることから、留意が必要です。ちなみに、市販の固定資産のソフトを利用して、月範囲を区切ることにより、暦年の減価償却と年度の減価償却を計算使用とする場合、月割り計算の差額の関係で、両者との間に差額が生じる可能性があるため留意してください。

②学校法人用の決算書から個人所得税申告のための決算書を作成する。

一般の会計ソフトを利用しているのであれば、1-3月及び4-12月をそれぞれ、学校法人会計用のソフトから出力し、個人用の帳簿に連動させるのが良いと思います。その上で、個人独特の必要な処理を行えば、適切な青色決算書が作成できると思います。

なお、仕訳を出力し、新たな会計データに登録することが難しいようでしたら、学校法人の決算書を基礎に、青色申告書を作成するのが良いと思います。なお、この場合でも、個人特有の処理を変更することが必要になるため、留意が必要です。また、消費税に関しては、資金収支計算書のことも勘案し、税込処理が推奨です(個別論点でその内容を説明します)。

 

以上、学校法人会計基準に準拠する場合には、処理が難しい学校法人会計を最初に作成し、そのデータを基礎に個人の青色申告書を作成するといった方法が適していると思います。

学校法人において収益事業を行っており、法人税の申告をする場合にも、最初に全体としての学校法人の帳簿を作成し、当該帳簿を基礎にして法人税申告上の決算書を作成するのが一般的と考えられ、これは一つに、所得計算上は必ずしも貸借対照表を厳密に作成する必要が無いという点にあると考えられます。

逆に、個人の処理を基礎に学校法人の処理を行う場合には、市販のソフト等で対応するには、実質的には一から資金収支計算書を作成する必要があるため、苦戦することと思われますのでご留意ください。

以上

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