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内部統制報告制度の実務編②です。実務的におこりうる課題等を問題形式でお伝えしていきますので、ご参照ください。
【質問】
決算の過程において、財務諸表が結果的に内部統制ではないもので誤り等が検出された場合には、内部統制上、どのような影響を及ぼすのでしょうか?以下の、場合に分けて、それぞれどのような影響を与えるのでしょうか?
①棚卸の際に、担当者が単価として利用する単位を誤ってしまい結果的に、棚卸資産が過大計上されてしまった。
②売上高を所管営業部の部長の指示により、翌日の出荷であるにも拘らず、3月末の出荷として取り扱い、結果として売上高が過大計上となっていた場合。
③固定資産の減損の判定において、遊休資産の把握が誤り、結果的に当該決算期に計上すべき減損損失を計上失念した場合。
④決算時において、3月10日に得意先が民事再生手続きを実施しているにもかかわらず、営業担当者がこの情報を経理に報告するのを失念し、決算期において本来貸倒引当金を計上すべきなのが、計上失念された場合。
⑤税金計算過程において、改正により税率が変更されているにも関わらず、計算シートを改訂せず、結果的に誤って計算がなされてしまった。
⑥税効果の過程において、計算シートが誤ってしまい結果的に大きな間違いをしてしまった。
【回答及び見解】
基本的には、上記全ての内容において、内部統制に起因する財務諸表の誤りとなると判断されると考えます。ただし、その中でも②に関しては不正に関連する可能性もあるため、そもそもの全般的な統制が成立しなくなる可能性があり、場合によっては経営者の誠実性等にも影響を及ぼす可能性があるため、内部統制上、極めて重要な問題になりうる可能性があるとえいます。その他の項目に関して、監査人の視点による分析を私見で述べると以下のとおりといえます。
①担当者の間違いとはいえ、一般的には2重チェックやシステム上のチェックが掛かるはずであり、かつ、それ以外の棚卸資産にも同様の誤りが混在する可能性があるとも考えられるため、その場合、的重要な問題となりうると考えられます。
②先述したとおり、問題外です。統制上の重要な問題になります。
③、④コミュニケーションの問題といえるようですが、事業の性質上、同様の状況が多く発生する可能性が高い場合には、重要な問題となりうりますが、そうでない場合には、今後同様の問題の発生可能性も高くないため、改善されば問題ない問題といえるかもしれません。
但し、④に関しては経理と営業との間のコミュニケーションの問題のため、比較的重要となりうるとも考えられます。
⑤、⑥に関しては、実務上よくある誤りであり、これらのインパクトは大きいと思うものの、組織的な問題ではないともいえます。有効な統制としては2重チェックなどをするということだと思われます。