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財務諸表等規則の中で、商品、製品、半製品、仕掛品、原材料、貯蔵品に関する貸借対照表上の表示科目と、上記の関連損益に関する損益計算書や製造原価報告書の表示区分は以外に実務上、難しい点があります。今回は、これらの関連勘定に関する実務上の表示の論点に関して、例示を使って説明していきたいと思います。
1.B/Sにおける勘定科目ごとの実務上の論点
半製品とは(仕掛品等との違い)
→製造の途中工程であるが、それ自身で販売可能なもの。
①材料費,半製品、仕掛品の違い
例1)ある類似の製品Aを作るために部品C,製品Bを作るために部品Dが必要になる。部品Cは,材料Eを利用し、自社で50%を生産しているが、部品Dは100%外部購入としている。
これらの場合の、C,D、EのB/S上の科目は。
(POINT)販売可能か?自社で加工をしているか?などで判別。
⇒一概には云えませんが、例題の条件であれば、Eは材料、Cは仕掛品、Dは材料となるでしょう。なお、Cに関しては、会社の管理状況を勘案し、材料と仕掛品で区分or全て材料として区分、全て仕掛品として区分という3つの方法が考えられます。ただし、この場合、製造原価報告書の表示区分には非常に留意が必要になります。
例2)では、例1の条件で、ある時から製品Aも購入品の方が安価のため、自社での製造をやめた場合のB/S上の科目は。
⇒仕入れているので、商品となると考えられます。
例3)上記例1の条件で、部品Cが当社で安価で生産できることが判明したため、他社から購入するのを辞めたときの部品CのB/S上の科目は。また、当該部品Cがあまりに安く生産できるため、他社からの要望があり一部他社に販売することになった場合の、部品CのB/S上の科目は。
⇒最初のケースは仕掛品、最後のケースは半製品が適切となると考えられます。
ただし、この場合も製造原価報告書の記載場所に関しては非常に留意が必要です。
②商品と製品の違い
例)当社では、商品Aと商品Bを両者ともに当社のブランドで販売しているが、商品Aは,客先へ直送されるが、商品Bは、一度、工場に納入してから当社にて全品品質チェックを行ってから、客先に送っている場合のB/S上の科目は。
⇒一概には云えませんが、Aは商品、Bは製品として取り扱うことが一般的と云えるのではないでしょうか。
③製品、半製品の違い
例)当社では、製品Aを生産して販売してきたが、今期において特定の得意先からの要請があり、製品Aを利用し,新たな部品と組み合わせることにより、製品Bを作ってほしいと要請があり、当社は製品Bを生産することになった。この場合における、前期末と当期末における製品AのB/S科目は。
⇒これも一概には云えませが、前期末に関しては、製品でしょう。当期末に関しては、半製品として振替えることも考えられますが、製品として取り扱うことが適切なのではないでしょうか。
④貯蔵品と材料の違い
例)当社においては、従来までの作業屑を売却していた。当期において、一部の作業屑に関しては,棒材に戻すことが出来る設備を導入して、一部の作業屑を材料に戻し、これらを材料として再利用することになった場合の、作業屑のB/S上の科目は。
⇒基本的には、貯蔵品で良いと考えます。但し、再利用可能な状況になれば、材料か仕掛品となるでしょう。
以上