お電話でのお問い合わせ03-3433-6080 042-745-3283
会計上、資産の一部に関しては資産の評価替え(減損等)が求められます、指定管理者の選考に勝ち抜くには、これら財務的にも強くなる必要がありますが、今回は、中小企業として実施したい資産の評価替えについて解説していきたいと思います。なお、外貨建ての評価替えとデリバティブ取引に関しては、今回、割愛し、次回説明していきたいと考えます。
営業債権や金銭債権に関しては、通常は貸倒引当金で適切な評価をされており、貸倒等が起こった場合には、貸倒損失として評価替えがなされます。それ以外は、一般的にはあまり影響がないと考えます。
したがって、法人税法上の貸倒損失に該当する場合は損失処理をしますが、外貨やデリバティブ等を除き必要が無いと考えます。
棚卸資産に関しては、原則、取得価額を貸借対照表価額とし、期末における時価が帳簿より下落し、かつ金額的重要性がある場合には、その事実を反映させて帳簿価額を切り下げることが必要になります。但し、これらの評価の測定は難しく、法人税法上も認容されるための要件はハードルが高く、否認されることが多いため、通常の場合には、既に使えない棚卸資産などに関しては、期末前になるべく処分などすることにより対応すれば十分であり、必ずしも評価損の計上をする必要性は無いと個人的には考えます。
なお、評価損を計上する場合の時価は、正味売却価額(売却市場における時価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除した金額)で算定することとなります。
ちなみに棚卸資産の評価方法は、法人税上の規定にしたがえば、原則、最終仕入原価法になりますが、当該評価方法は会計理論的には認められない評価方法ですので留意が必要です(もっとも、中小企業の場合には採用することが一般的と考えます。)。
有形無形固定資産に関しては、中小企業であっても以下の要件に該当すれば減損を行い、資産の評価替えを行うことが必要になります
①将来使用の見込が客観的にないこと(相当期間遊休状態にあれば、要件に合致する)
②固定資産の用途を転用したが採算が見込めないこと
ただし、減損処理は法人税法上認容されず、実際の測定方法などに関しても非常に難しいため、極めて金額的な重要性がある場合などを除いては、計上しなくとも構わないと個人的には考えます。
有価証券はその性質に応じ①売買目的有価証券、②満期保有目的の債権、③子会社及び関連会社株式及び④その他有価証券に分類されますが、資産の評価替えに関しては、以下の通りの取り扱いとなると考えます(外貨除く)。
投機的な目的で株式を保有するのは、会社としてはリスクが高くなるため、通常は無いこと想定されますが、期末の時価で評価替えが必要になります。
償却原価法での評価が必要になります。原則として、それ以外の資産の評価替えは不要と考えます。
取得原価で評価し、時価が著しく下落した時には減損をする必要がありますが、これも一般的には法人税法上は評価損が認容されにくくなります。したがって、子会社が債務超過等に陥っている場合や、その金額に重要性がある場合などを除き、基本的には資産の評価替えは不要と個人的には考えます。
取得価額で評価を行い、期末時価と比べ時価が著しく下落した場合(50%超下落)には、一般的には法人税法上も評価損が認容されるため、評価損を計上すべきと考えます。それに対して、基準としては時価を貸借対照表価額とし、その差額をその他有価証券評価差額金として処理することを求めていますが、その金額に重要性が無ければ必ずしも必要が無いと考えます。
時価の無い場合には、③と同様になりますが、この減損に関しても③と同様、金額的重要性が著しく高い場合などを除いては、特段処理しなくとも構わないと個人的には考えます。
以上