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■指定管理者情報 中小企業が適用すべき外貨建てとデリバティブの処理について

外貨建て金銭債権債務とデリバティブ取引に関しては、会計上は、原則、期末において時価に評価替えを行うことが必要になります。ただこれらを全て適用するのは非常に難しい点もあると思います。そこで今回は中小企業が最低限実施すべき処理方法について、解説していきたいと思います。

 

1.外貨預金や外貨建て金銭債権債務の期末の換算

外貨預金や外貨建ての売掛金や貸付金等の金銭債権や買掛金や借入金などの金銭債務に関しては、期末日レートにより外貨換算することが必要になるといえます。

ここで、利用するレートなのですがTTSやTTBなどをその場合に分けて適用するという考えもありますが、一般的にはTTMを利用することが一般的といえます(レートに関しては、ヤフーファイナンスの時系列情報などで簡単に取得することが出来ます)。

なお、外貨建て金銭債権債務の中で良く間違いやすい論点として経過勘定項目がありますが、これら経過勘定項目の外貨換算に関しては以下の通りとなります。

〇前払費用、前渡金、前受金、前受収益 ⇒ 外貨換算の必要性なし

理由 : 簡単にいうと、既に確定しており、今後変動しないから。

〇未払費用、未収収益 ⇒ 外貨建て金銭債権債務に準じる(原則、必要)

理由 : 簡単にいうと、今後変動する可能性があるから

これらについては、間違いやすいので注意してください。

 

2.為替予約

為替予約に関しては、会計上と税務上の評価方法に差異がありますが、原則的には期末の時価で評価替えをする必要があります。なお、一般的にはヘッジ目的であれば、対象となる債権債務を基準に為替予約を設定することになると考えられるため、この場合には、一定の要件を満たすと振当て処理が認められます(金銭債権債務のレートを決算日レートではなく、予約レートで換算する方法)。

一般的にはあまり無い取引のため、これ以上の説明は割愛しますが、税務上は事前届出等が必要な場合があるため、留意が必要になります。

 

3.金利スワップ

一般的に金利スワップ契約を締結する場合は、特例処理(※)であることが想定されるため、この場合、期末において時価に評価替えすることは必要ではありません。ただし、特例処理の要件を満たさない金利スワップ取引に関しては、留意が必要となります。

(※)借入の実行額や実行期間と金利スワップ契約の実行額や実行期間が完全に一致している契約。

 

4.その他のデリバティブ契約

デリバティブ取引としては、上記のほかにオプション取引など様々な取引がありますが、ここでは説明を割愛いたします。

なお、金融商品の中にはコーラブル預金(一定の要件を超えない限り、額面が保証されており、一定の条件により利息などが変動する預金)など、一件普通の預金のように見える複合金融商品などもありますが、これに関しては、特にリスクの無い商品であれば、特段時価評価する必要性は乏しく、税務上も資産の評価替えをしていないのであれば、会計上も必要とならないと個人的には考えます。

 

以上

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