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その2.第1種中間財務諸表関連(上場会社)
日本公認会計士協会による中小事務所等施策調査会研究報告第9号「第1種中間連結財務諸表等を含む半期報告書に関する表示のチェックリスト」(2024年7月12日公表、同年10月10日改訂版公表)をもとに、2024年9月30日に中間決算期を迎える上場会社が半期報告書に反映すべき事項のうち、前年度の四半期報告書からの主な変更点(※)を取り上げてみました。
(※)用語や関係法令等の変更は、以下の記載内容において網羅的に列挙しておりません。また、非上場会社や上場特定事業会社に適用される事項は記載しておりません。
1.比較情報に関する適用初年度の留意点(令和6年内閣府令29号コメント対応No.59~61企会基33号39)
四半期報告書を提出していた上場会社(上場特定事業会社を除く。)が第1種中間財務諸表を含む半期報告書を提出する場合において、比較情報が必要となります。
また、企業会計基準第33号の適用初年度においては、開示対象機関の第1種中間財務諸表について、当該会計基準を遡及適用します。
2.固定負債の引当金(財規ガイドライン174-1-4,52-1-7)
中間貸借対照表日の翌日から起算して1年以内の日にその一部の金額の使用が見込まれるものであっても、中間貸借対照表日の翌日から起算して1年以内の日の使用額を正確に算定できない場合には、その全額を固定負債として記載します。
ただし、その全部又は大部分が中間貸借対照表日の翌日から起算して1年以内の日に使用されることが確実に見込まれる場合には、その全部について又は中間貸借対照表日の翌日から起算して1年以内の日の使用額を適当な方法によって算定し、その金額を流動負債として記載します。
3.固定負債の区分表示(財規ガイドライン174-1-3,52-1-5)
固定負債に属する負債は、次に掲げる項目の区分に従い、当該負債を示す名称を付した科目をもって掲記します。
「長期未払法人税等」について、例えば、国際最低課税額に対する法人税等(財規第95条の5第1項第2号に規定する「国際最低課税額に対する法人税等」をいう。)のうち、中間貸借対照表日の翌日から起算して1年を超えて支払の期限が到来するものが含まれます。
4.中間純利益又は中間純損失(財規198(1)~(3),95の5(1)① 財規ガイドライン198-1-1,95-5-1-1)
次の項目は、その内容を示す名称を付した科目をもって、税金等調整前中間純利益金額又は税金等調整前中間純損失金額の次に表示します。また、当該項目の金額を加減した金額は、中間純利益金額又は中間純損失金額として表示します。
法人税、住民税及び事業税は、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」に従って損益に計上する法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)をいいます。
上記(1)から(3)の項目は一括して記載することができます。この場合においては、(2)に掲げる項目の金額の重要性が乏しい場合を除き、当該金額を注記しなければならない、とされています。
前事業会計年度以前の連事業年度に係る法人税、住民税及び事業税の更正、決定等による納付税額又は還付税額は、「法人税、住民税及び事業税等に関する会計基準」に従って損益に計上する法人税、地方法人税、住民税及び事業税(所得割)の更正等による追徴税額及び還付税額をいいます(財規ガイドライン198-4,95-5-4)。
当該更正、決定等による納付税額又は還付税額は、法人税、住民税及び事業税の項目(「法人税、住民税及び事業税」 及び「法人税等調整額」の項目を一括して記載する場合にあっては、当該項目を一括したもの。)の次に、その内容を示す名称を付した科目をもって記載します。
また、これらの金額の重要性が乏しい場合には、「法人税、住民税及び事業税」又は「国際最低課税額に対する法人税等」の項目(番号84(注)により「法人税、住民税及び事業税」、「国際最低課税額に対する法人税等」及び「法人税等調整額」の項目を一括して記載する場合にあっては、当該項目を一括したもの)の金額に含めて表示することができる。
6.適用初年度の会計方針の変更及び追加情報の注記に関する留意点(企業会計基準第33号BC24、39、令和6年内閣府令29号コメント対応No.59~61)
下記の取扱いに従って当中間会計期間において会計方針を変更するに当たっては、会計方針の継続性の観点から、第1四半期から変更を行うことが適切と考えられます。
企業会計基準第33号等の適用初年度においては、従来作成していた財務諸表(四半期財務諸表)と異なる種類の財務諸表(中間財務諸表)を新たに作成することになると考えられるため、適用初年度において従前の四半期財務諸表において採用していた会計方針(年度の会計方針との首尾一貫性が求められる会計方針を除く。)と異なる会計方針を採用する場合には、会計方針の変更に該当せず新たに会計方針を採用することになると考えられます。
なお、上記の場合、会計方針の変更に該当しないが開示対象期間の中間財務諸表等について遡及適用します。また、当中間会計期間への影響が大きい場合には、追加情報として、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更に関する注記に準じて税引前中間純損益に対する前中間会計期間における影響額などを注記することが考えられます。
なお、上記については、四半期報告書を提出していた上場会社(上場特定事業会社を除く。)が第1種中間財務諸表を含む半期報告書を提出する場合においても同様です。
7.国際最低課税額に対する法人税等(財規198(2))
「法人税、住民税及び事業税」、「国際最低課税額に対する法人税等」及び「法人税等調整額」の項目を一括して記載する場合には、「国際最低課税額に対する法人税等」の金額の重要性が乏しい場合を除き、当該金額を注記します。
なお、実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」が2024年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されています。第7項により、中間財務諸表においては、当面の間、当中間会計期間を含む対象会計年度に関するグローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等を計上しないことができるとされています。
また、同第7項を適用するときは、その旨を注記する(実務対応報告第46号第13項)とされていますが、当該注記については、2025年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用されるため、2024年度においては注記不要となります。