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あまり知られていませんが、中小企業の会計に関する指針においても税効果会計は原則適用することとなっております。しかしながら、これら税効果会計を適用している会社は非常に少ないと思います。また、未払消費税等や未払法人税等に関しては、中小企業はどこまで処理すれば良いのでしょうか。そこで今回は、中小企業で最低限求められる税金関連の処理について、税効果会計も含め、個人的な見解を解説していきたいと考えます。
1.税込処理か税抜処理か
一般的には、税抜処理を採用すべきといえますが、公益法人会計基準を採用する場合などにおいては、税込処理の方が適している場合もあります。したがって、どちらの処理でも認められますが、その処理方法に関してはしっかり注記しておくことが必要と考えます。
2.納税充当金(未払法人税等)は計上すべきか。
計上すべきと考えます。法人税法上は支払時の処理でも認められますが、基本的には計上していないと、決算としてのレベルが懸念されてしまいます。
なお、補足ですが未収法人税等、未収消費税等や未払法人税等、未払消費税等を未収入金や未払金に含めているケースも良く見られますが、これらはあくまで見積もりによるものであるため、これらに含めることは原則認められません。
2.税効果会計の適用
①計上すべき将来減算一時差異について
一度、別表五(一)を確認してみてください。ここにある重要な項目と税務上の繰越欠損金を対象とすべきといえます。
一般的には、貸倒引当金、賞与引当金、退職給付引当金などの引当金と税務上の繰越欠損金を対象にすれば十分と個人的には考えます。なお、過去に有価証券評価損を計上しており、別表五(一)に残っている場合には、これも対象にすべきと考えます。
②計上すべき将来加算一時差異について
将来加算一時差異に関しては、一般的にはあまり無いことが想定されます。固定資産の圧縮記帳をしており、剰余金方式を採用している場合には必要となると考えます。なお、これらも別表五(一)に出てきますので、ここを確認すればそれで足ります。
③将来課税所得の実現可能性について
基準にしたがえば、繰延税金資産となる場合には将来の課税所得の十分性について慎重に検討することが必要になります。但し、これは上場会社でも難しい判定となるため、個人的には、以下の通り計算すれば十分と考えます。
・過去3期間で、継続して赤字及び欠損金の期限切れがある ⇒ 計上しない
・上記以外 ⇒ 計上する
④実効税率について
繰延税金資産及び負債を計算する際には、実効税率を算定する必要があり、当該実効税率は地方自治体や会社の規模などによって変わってきますが、現状では30%を利用しておけば良いのではと個人的には考えます。
なお、実効税率に関しては様々なサイトで紹介されているため、これらで情報を収集し計算することも可能です。
以上