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退職給付会計基準においては、期間帰属方法や割引率の設定方法等、複数選択が認めらます。ここでは、以前経営財務で取り扱われていた退職給付記事準改正の際の各企業の見積項目の選択状況について、まとめてみました。今後、どの方法を選択するかと迷われている際には、ご参考にされてはいかがでしょうか。
『改正退職給付適用に向けたアンケート』より抜粋(経営財務 2013年5月20日 №3114号 )
・有効アンケート数94社における回答を抜粋しまとめ
(1)期間帰属方法の選択
・会計基準上、期間帰属方法選択において原則・例外の関係は無い。
方法 | メリット | デメリット |
給付算定式基準 | ・IFRSに対応
・給付カーブが前加重の場合、将来の費用負担を軽減できる ・適用初年度は遡及修正することなく、会計方針を変更できる |
・計算が期間定額基準より複雑
・『著しい後加重』に関する判断が必要 |
期間定額基準 | ・計算方法の変更が不要であり、会計方針の変更とならない
・計算が給付算定式基準より簡単 |
・適用初年度以降に給付算定式基準に変更する場合は、会計方針変更による遡及修正とその正当な理由が必要
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Q.退職給付債務の計算における期間帰属方法は決定しているか
給付算定式基準を採用 | 26(27.66%) |
期間定額基準を採用 | 8(8.51%) |
検討中 | 53(56.38%) |
その他、又は、ご意見 | 6(6.38%) |
無回答 | 1(1.06%) |
○『著しい後加重』の検討に関して
→『著しい後加重』に該当する場合には、一定の補正計算が必要となる
・日本基準及びIFRSにおいて『著しい』に関する具体的な基準は設けられていないため、各社において判断及び理由づけが必要となる。
・また、退職給付制度の変更を行う際には、再度『著しい後加重』かの検討が必要となる。
(2)割引率の設定
採用方法 | 算出方法 | 概 要 | |
複数の
割引率を 採用 |
複数の割引率(イールドカーブ)を用いて割引く方法 | ・毎期各期のスポットレートを把握する必要
・重要性の概念の適用が困難 |
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単一の割引率を
採用 |
デュレーションによる単一割引率 | ・加重平均による単一割引率より正確
・デュレーションについての理解が必要。 |
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加重平均による単一割引率 | ・計算方法が最も簡単である。
・割引率がデュレーションで算定した割引率より大きくなる可能性がある(将来的な費用負担増につながる) |
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Q.退職給付債務の計算における割引率の算定方法は決定しているか
複数の割引率を使用予定 | 5(5.32%) |
単一の加重平均割引率を使用予定 | 29(30.85%) |
検討中 | 52(55.32%) |
その他、又は、ご意見 | 5(5.32%) |
無回答 | 3(3.19%) |
(3)割引率の見直し(重要性基準)
Q.退職給付債務の計算における割引率の決定方法において、割引率変更に関する重要性の基準を適用するか
適用する | 38(40.43%) |
適用しない | 5(5.32%) |
検討中 | 44(46.81%) |
その他、又は、ご意見 | 5(5.32%) |
無回答 | 1(1.06%) |
・連結上では未認識数理計算上の差異は包括利益を通じて即時認識されるため、重要性の範囲を超えた際の影響が連結上では即時に認識されることとなる。→負債の金額に影響
(4)IFRS適用に関して
・給付算定式基準及び複数の割引率を使用する方法が最もIFRSに近い方法となる。
Q.改正後退職給付会計基準に基づき算出した退職給付債務をIFRS適用の際そのまま使用することを考えているか
考えている | 23(24.47%) |
考えていない | 16(17.02%) |
検討中 | 48(51.06%) |
その他、又は、ご意見 | 5(5.32%) |
無回答 | 1(1.06%) |