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「履行義務」とは、顧客との契約において下記のいずれかを顧客に移転する約束のことをいいます。
難解な新収益認識基準ですが、今回は基準の中でのSTEP2「履行義務の認識」を簡潔に解説したいと思います。
ここで別個とは顧客が単独で便益を享受でき、契約内の他の約束と区分して識別可能なもの、という定義付けがされています。少し耳慣れない言葉を使っていますが、解説しますと、顧客と交わした契約の中にいくつの契約(識別可能な約束)が含まれているかを認識し、その識別可能な約束を履行義務として把握し、識別した単位ごとに収益を認識しましょう、ということです。
さらに、その履行義務は契約上明示されていないものも含むとされており、取引慣行や公表した方針等により、契約締結時に顧客の合理的な期待が生じているものが含まれる可能性がある、とされています。現状、契約における約束の内容を検討し、会計単位に区別するという一般的な定めは存在しません。新収益認識基準適用後は、収益認識のための会計単位は個々の履行義務となるため、企業は契約の中に複数の財またはサービスが含まれる場合には、契約の中にいくつの履行義務があるかについて検討することが求められることになります。この段階で認識する会計単位が異なると、その後の会計処理結果も異なってくるため、適切に履行義務を識別することが重要となってきます。
さらに、このSTEP2の段階においては、特定の状況または取引における取扱いが適用指針で定められています。ここでは、そのうちの1つである「本人と代理人の区分」について簡単に解説します。ざっくり説明しますと、顧客への財又はサービスの提供に伴い他の当事者が関与している場合、その提供前にその財又はサービスを支配していると認められる場合に本人に該当するとされています。そして、その支配には以下の3つの要件が定められています。
このようにして本人か代理人かの判定を行い、収益を計上することになりますが、本人に該当する場合は例えば、販売額と仕入額の総額を計上することが可能ですが、代理人と判定された場合には純額、つまり商品販売額の総額から仕入額を控除した金額しか計上できないことになります。この影響が大きく表れそうな業種としては百貨店などが考えられています。現基準では純額か総額かの具体的な定めはなく、各企業が判断していましたが、新基準適用後は取引の主体(本人)であるか取引主体でない(代理人)かの区別が重要になってきます。