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個人立幼稚園の会計処理に関しては、どのような法律や規定を考慮する必要があるのでしょうか。今回は、個人立の幼稚園という独特な状況で考慮すべき、3つの大きな法律や規定等について、解説していきます。
☆個人立幼稚園の会計に影響を及ぼす3つの法律規定等
会計処理を選択する際には、関連する法律や規定等を遵守し適用していくことが必要になりますが、個人立幼稚園の場合、一般的には、以下の法律及び基準等に対応することが必要になってくることになります。
(1)教育用財産に対する相続税の非課税制度に対応するため
(2)個人の確定申告に対応するため(所得税及び消費税等の申告)
(3)学校法人会計基準等へ対応するため
以下、それぞれについて簡単ながら説明していて期待と思います。
(1)教育用財産に対する相続税の非課税制度に対応するため
幼稚園の土地、建物や各設備などに関して、一定の要件を満たせば教育用財産として、相続税法上非課税となりえます。
そもそも、相続税上の非課税財産として、“宗教、慈善、学術その他公益を目的とする事業を行うもので政令で定めるものが相続又は遺贈により取得した財産で当該公益を目的とする事業の用に供することが確実なもの”というものがあります(相法12①三)。つまり、学校法人が保有している教育用財産は、まさにこれに該当することになり、相続税法上は非課税財産となります。
ここで、個人立幼稚園の場合、前段で説明した“当該公益を目的する事業を行うもの”と“当該公益を目的とする事業のように供することが確実なもの”という要件に該当するか否かが、問題になります。
これに関しては(付則)として要件を定めており、“当分の間、幼稚園を設置し、運営する事業その他の公益を目的とする事業で財務省令で定めるものを行う個人については、第二条の規定に該当する者のほか、当該個人のうち当該事業を引き続いて行うことが確実であると認められる者として財務省令で定める者に該当するものは、当該事業に係る資産のうち当該事業を行う者の家事のために充てられるものの金額が当該事業から受ける報酬の額として相当と認められる金額を超えていないことその他の事実が存することにより当該事業及びその経理が適正に行われていると認められる場合として財務省令で定める場合には、法第十二条第一項第三号に規定する公益を目的とする事業を行う者に該当するものとする。”とされています。
またこの具体的な要件として、以下のとおり法令解釈通達上で示されています。
○当該事業に係る資産のうちその者の家事のために充てるものの金額が当該事業から受ける報酬の額として相当と認められる金額を超えていないこと(家事充当金限度額の認定基準額)
○事業経営者の親族その他特別関係者の給与が労務の対価として相当であると認められるものであること(適正給与額の判定基準)
と、かなり複雑な内容となってしまいましたが、個人立の幼稚園を経営している場合、相続税の非課税枠が大幅に引下げされ、相続負担が高い現在においては、もし仮に幼稚園運営上保有している財産が相続財産として認定されるようなことがあれば、多額の相続税が課税されることになり、宴の事業運営の継続は非常に厳しくなることとなります。そのため、これらに対応した会計基準等を選択する必要があります。
ただ、これらはどちらかというと会計基準というより、選択した会計基準の中での運用面を示していることとなります。ただ、教育用財産に関しては、暦年で届出が必要になります。そのため、少なからず12月末時点でその教育用財産の状況を把握しておくことが必要になります。
そのため、個人立の幼稚園の場合には、これら相続税法上の非課税財産として否認されないよう、第一に梶充当金限度額の認定基準額及び適性給与額の判定基準を満たすよう運用していくこと、及び暦年で教育用財産の財産状況を整理していくことが必要になります。
以上