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法律上、公益社団法人・公益財団法人については、下記①~③のいずれかの条件を満たす場合には、会計監査人の設置が義務付けられています(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第5条第12号、同法施行令第6条)。
①収益の額が1,000億円以上
②費用及び損失の額の合計が1,000億円以上
③負債の額が50億円以上
一般社団法人・一般財団法人については、負債の額が200億円以上の場合には、会計監査人の設置が義務付けられています(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律第62条、第171条)。
(参考:会計監査人は監査法人あるいは公認会計士でなければなりません。税理士法人や税理士が会計監査人となることはできません)
公益社団法人・公益財団法人には、その実施事業の公益性の高さゆえ、一般社団法人・一般財団法人以上に、適正な財産の使用や会計処理が求められます。そのため、一般社団法人・一般財団法人以上に、公益社団法人・公益財団法人は、会計監査人の設置要件が厳格なものとなっています。
一方で、上記の法定監査の要件の規模に満たない法人の場合であっても、会計監査人による任意監査を受けることにより、財務諸表の信頼性を高め、情報開示の適正性に資することが可能です。内閣府の立入検査において、会計監査人の設置義務のない法人においても、適正な財政状態および経営成績の開示に資するために会計監査人を任意設置していることは、大きなアピールとなるのではないでしょうか。
(参考:会計監査人を、上記法定の設置義務にもとづいて設置する場合と、任意で設置する場合で、会計監査人の権限・規律等が異なるということはありません)
なお、法定で会計監査人を設置するか、あるいは、任意で会計監査人を設置するか否かにかかわらず、会計監査人を設置する場合には、定款に会計監査人を設置する旨を定める必要があります。さらに、会計監査人を設置する場合には、その旨、および会計監査人である公認会計士の氏名または監査法人の名称が、登記事項となっています。
また、定時社員総会・定時評議員会において、会計監査人の出席を求める決議があった場合には、会計監査人はこれに出席して意見を述べる必要がありますし、会計監査人が監査の内容について監事と意見を異にする時には、定時社員総会・定時評議員会に自ら出席して意見を述べることもできます。監事は会計監査人に対し、その職務を行うため必要があるときは、会計監査人に対し、その監査についての報告を求めることができます。
最後に注意点として、法人の監事が、監事の会計監査業務を実施するにあたり、公認会計士あるいは税理士を監事監査の履行補助者として雇う場合が散見されますが、これは法律上の会計監査人には該当しません。あくまで、法人との業務委託契約における受任者、あるいは法人との顧問契約における顧問などにすぎず、法人が会計監査人の設置義務を満たしていることにはなりませんので、ご注意ください。