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資産除去債務に該当するものは、全て計上しないといけないのでしょうか。今回は、資産除去債務に関する会計基準及び同適用指針の解説とともに、実務上のポイント解説を中心に説明していきたいと思います。
平成22年4月1日以降開始する事業年度。
但し、平成22年3月31日以前に開始する事業年度からの適用可
・ 将来の負担を財務諸表に反映させることは投資情報として役立つ
有形固定資産の取得、建設、開発または通常の使用によって生じ、当該有形固定資産の除去に関して、法令または契約で要求される法律上の義務およびそれに準ずるもの
① 有形固定資産およびそれに準じる有形の資産から派生する債務
② 取得、建設、開発または通常の使用によって生じる債務 ③ 有形固定資産の除去に関わる債務 ④ 法令または契約で要求される法律上の義務およびそれに準じるもの |
⇒つまり、単に同義的な義務や商慣習的な義務の場合には該当しません。
但し引当・減損対象の余地あり。
Q1. 税務上も費用として損金計上できるか?
A1. 税務上の損金とはならず、課税所得の計算の際には加算する必要がある。
Q2. オフィスを賃借しており,賃貸借契約には退去時の原状回復義務の記載があるが、本社移転予定がなく,資産除去債務の合理的な見積もりができない場合。
A2. 注記例『当社は,本社オフィスの不動産賃借契約に基づき,オフィスの退去時における原状回復に係る債務を有しているが,当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく,将来本社を移転する予定もないことから,資産除去債務を合理的に見積もることができない。そのため,当該債務に見合う資産除去債務を計上していない』
有形固定資産の取得、建設、開発又は通常の使用によって法律上の義務等が発生した時(*注1)に、有形固定資産の除去に関する割引前の将来支出を見積もり、割引後の金額で負債として計上する。(*注2)
同時に資産除去債務に対応する除却費用は資産除去債務を負債として計上した時に当該負債の計上額と同額を、関連する有形固定資産の帳簿価格に加える。
(*注1)計上時点は?
・ 資産の取得時点
・ 使用の都度発生、法令変更等により新たに義務が発生した場合
・ 当該債務を合理的に見積もることができるようになった時点
(*注2)資産除去債務の計上金額は?
・割引前の将来CF
合理的で説明可能な過程及び予測に基づいて支出見積もりを計算する。
保管や管理のための支出等、処分に至るまでの支出も含む
・割引率:無リスクの税引前の利率(利付国債の流通利回りなど)
・適用初年度における既存資産に関連する資産除去債務高の算定
→適用初年度の期首時点における割引前将来CFの見積もり及び割引率を使用
・原則、特別損失に計上
・会計基準の変更に伴う会計方針の変更として取り扱う
ワンイヤールール(履行の時期に応じて) 資産除去債務等その内容を示す科目で表示
関連する有形固定資産の減価償却費の計上区分と同じ区分に計上
・資産除去債務に対応する除却費用の費用配分額
・時の経過による資産除去債務の調整額の表示
・資産除去債務の履行時に生じる決済の差額(差額が異常な原因:特別損益)
・重要性の乏しい場合を除いて注記
・多数の有形固定資産について資産除去債務が生じている場合には、有形固定資産の種類や場所等に基づいて、注記をまとめて記載することができる。
・資産除去債務の概要、合理的に見積もることができない旨、その理由を注記
・資産除去債務の履行 →支出額を投資活動によるCF
・重要な資産除去債務の計上 →CF計算書に重要な非資金取引として注記
以上