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当座貸越契約やコミットメント契約があると、貸借対照表注記項目として注記する必要があると一般的には考えられますが、特に当座貸越契約に関しては注記をしていない会社も多いのが現状ではと、個人的には考えます。その背景としては、当該貸越契約があったとしても実質的にファイナンスとしての役割が低い場合などのためといった理由などにより、注記していないということだと考えます。
ここでは、実際に皆様がどのような開示をしているのか調べてみました(2012年の時に調べた状況です)。
Ⅰ.全体的分析(α:有報サーチ、β:10年8月期~11年8月期、γ:①コミットメントで検索、当座貸越除外②当座貸越で検索、コミットメント除外③当座貸越ANDコミットメントで検索)
分類 | 会社数 |
当座貸越のみ開示 | 343 |
コミットメントのみ開示 | 481 |
当座貸越とコミットメントの両方を開示 | 356 |
→将来の借入余力、短期的資金の調達能力を開示する事で倒産リスクの情報提供。
なお、当該注記を行っている会社の中から26件をランダムに検索してみました結果、以下のとおりの開示となっていました。
Ⅱ.個別事例 (㈱トランザクション、その他製品2011年8月決算JQS)
3 当座貸越契約及び貸出コミットメント契約
当社は、運転資金の効率的な調達を行うため取引銀行3行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を締結しております。
当連結会計年度末の借入未実行残高等は次のとおりであります。
当座貸越限度額及び
貸出コミットメントの総額 1,100,000千円
借入実行残高 100,000千円
差引額 1,000,000千円
Ⅲ.所見
当該注記は資金調達力・倒産リスクの情報提供である。会社ごとに事情は異なり、また、サンプル結果からも一律の重要性(○%以上は開示など)は読めない。当座貸越契約は多くの会社が保有しているが約700社しか開示していない。この結果は、資金調達力・倒産リスクの開示と言う観点から考えると、運転資金のための当座貸越は開示していない会社も一定数存在すると思われる。当座貸越枠の利用方法や実態に基づき判断すべきと考えます。