ブログ

株主資本等変動計算書について

今回は、平成18年に改正された株主資本等変動計算書について、記載方法や留意点などについて解説をしていきます。

 

なお、サンプルを以下に添付いたします。

株主資本等変動計算書

 

 

○中間(連結)株主資本等変動計算書の様式は純資産の項目を横に並べる方法により作成される。ただし、横長になる傾向があるため、株主資本で一旦切って、評価・換算差額等以下についてはその下に分離して表示する等の方法が認められている。又、縦に並べる様式により作成することも認められている。

 

○株主資本等変動計算書は、貸借対照表の純資産の部に計上される(ⅰ)株主資本、(ⅱ)評価・換算差額等、(ⅲ)新株予約権、(ⅳ)少数株主持分(連結)を、原則として科目ごとに、前期末残高、当期変動額及び当期末残高に区分して記載するものとしており、これらの区分及び科目は貸借対照表の純資産の部と整合していることに留意。

 

○「繰越利益剰余金」の「前期末残高」は適用初年度の前年度の貸借対照表の「当期未処分利益(当期未処理損失)」の残高を記載する。

 

○「繰延ヘッジ損益」については、当期末の貸借対照表の計上された金額を当期変動額及び当期末残高に記載する(前期末残高は「-」となる)。

 

○適用初年度につき、前期の利益処分案の内容が記載される場合があることに留意(剰余金の配当、役員賞与が記載されるケースが多い)。役員賞与については費用計上に一本化されるため適用初年度のみ前期の利益処分案に記載された役員賞与が記載される。その場合の変動事由としては「利益処分による役員賞与」又は単に「役員賞与の支給」、「役員賞与」と記載してもよいと考えられるとのこと。又、その場合には、繰越利益剰余金の減少額として表示される。

 

○その他前期末に資本の部に計上されていなかった項目(新株予約権、少数株主持分)については、前期末の金額をそのまま株主資本等変動計算書の「前期末残高」に記載する。

 

○圧縮積立金等の利益処分方式による税務上の積立金は、法人税等の税額計算を含む決算手続として会計処理を行う。つまり今後は当期の貸借対照表に反映させることになる。なお、当該積立金の積み立て及び取り崩しに関する変動事由の記載は、個別の株主資本等変動計算書で行うことに留意。

 

○中間株主資本等変動計算書、中間連結株主資本等変動計算書の様式がそれぞれ中間財務諸表等規則様式第3号及び中間連結財務諸表等規則様式第6号として示されているが、企業会計基準適用指針第9号と文言が少し異なっていることに留意。

前期末残高 → 「平成○年○月○日残高  (円)」

当期変動額 → 「中間(連結)会計期間中の変動額」

 

○注記事項

①連結株主資本等変動計算書及び連結財務諸表を作成しない会社の株主資本等変動計算書

(ⅰ)発行済株式の種類及び総数に関する事項

(ⅱ)自己株式の種類及び株式数に関する事項

(ⅲ)新株予約権及び自己新株予約権に関する事項

(ⅳ)配当に関する事項

②個別株主資本等変動計算書

上記(ⅱ)

 

○その他の事項として、純資産の部の変動が把握できることから、以下の注記及び附属明細表が削除された。

①資本準備金及び利益準備金欠損填補の注記

②資本金等明細表

(利益処分案及び連結剰余金計算書は廃止)

 

関連記事

  1. ■金融商品の時価等の開示の実務上のポイント(算定方法や重要性など…
  2. ■指定管理者情報 中小企業が適用すべき税効果会計等の税金関連処理…
  3. 仕訳テストとは?~経営者の内部統制の無効化リスクに対する手続~
  4. 分配可能額
  5. ■183日ルール
  6. ■退職給付に関する見積項目の上場会社の選択状況に関するまとめ
  7. ■包括利益について
  8. 公認会計士の仕事 vol.5

最近の記事

PAGE TOP