お電話でのお問い合わせ03-3433-6080 042-745-3283
後発事象・・・・・後発事象とは、決算日後に発生した会社の財政状態及び経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を及ぼす会計事象
なお、その内重要なものが重要な後発事象となります。
事後判明事実・・・監査の考え方であり、“監査上の後発事象の期間の後(監査報告書発行後)に発覚した事実”
これに関しては。基準の中で明確に定めてはおりませんが、意見としては、その事象により、財務諸表全体に影響を及ぼす場合や、監査意見に影響を及ぼす可能性がある場合など
という視点で、重要性の判断をすれば良いのではないのでしょうか?
では、重要な後発事象があったらどのような対応になるのでしょうか。これに関してはその性質により以下の2つの対応に分かれます。
・財務諸表利用者にとって有用な判断材料を提供するため、財務諸表に「開示」(”重要な後発事象”として注記をする)
・財務諸表には貸引など見積りや判断が多く含まれるため、適切な財務諸表に「修正」(財務諸表自体を修正する)
なお、実務的には発生した事象が開示後発事象と捉えるか、修正後発事象と捉えるかは重要なポイントとなりますので、以下、その検討時のポイントについてまとめてみました。
ちなみに、事後判明事実が生じた場合の取り扱いについては、今回は割愛いたします。
・発生原因が期末日現在で存在しているかで判断。
(a)災害等の発生…開示後発
(b)取引先の経営状況悪化による倒産…修正後発
・3パターンに分類
(a)自社のみで実行できる場合は、経営者が意思決定した時点
(例:重要な設備投資計画の決定、新株の発行)
(b)自社のみでは実行できない場合は、他社との合意があった時点
(例:土地の売却、重要な契約の締結)
(c)臨時的な事象は、実際に発生した時点(例:災害の発生)
・質的重要性、量的重要性から判断。
・ポイントは財務諸表利用者の判断に影響を及ぼすかどうか。
・比較情報の導入に伴い、当事業年度の期間比較の観点から前期情報を作成・開示。
→前期の開示は基本的には不要。
ただし、一度後発事象として開示しても財務諸表に反映されるまで時間がかかる場合(例:訴訟事件)は、経緯を追加情報等として開示が必要な場合あり。
ⅰ)修正後発事象(第一の事象)
“決算日後に発生した会計事象ではあるが、その実質的な原因が決算日現在において既に存在しており、決算日現在の状況に関連する会計上の判断ないし見積もりをする上で、追加的ないしより客観的な証拠を提供するものとして考慮しなければならない会計事象である。”
ⅱ)開示後発事象(第二の事象)
“決算日後において発生し、当該事業年度の財務諸表には影響を及ぼさないが、翌事業年度以降の財務諸表に影響を及ぼす会計事象である。”
その具体的事象に応じて、どの時点で発生とみなすかは、監査・保証実務委員会報告第76号「後発事象に関する監査上の取扱い」付表2に、具体的取扱いあるため、参照いただければ分かると思います。
①3月末時点で相手方から100百万円の損害賠償を訴えられており、当社としては40百万円の引当金を計上していた。これが、4月に判決が下り、90百万円損害賠償することが裁判上で確定した(かつ、当社としては上訴しない方針)
②3月末の売掛金が、4月になって得意先が大震災を受けて、多額の損失を発生したことにより不渡りを起こしたため、結果的に貸倒が発生した場合
③3月末決算の時に、在庫評価を1/2としていたものが、規格が4月に変更されたことにより、当該規格で販売禁止となり、結果、適正な在庫評価が1円であったと分かった場合
④3月に震災が起こって、当該震災に関する将来損失発生見込額が100百万円と見積もり減損処理をした。しかしながら、実際には上記以外に処分費用が50百万円かかることが、4月末に判明した場合。
⑤3月末時点で、遊休となった土地を120百万円(当初簿価200百万円)を時価として減損を実施したが、4月末に売却先が確定し、30百万円で売却すると確定した場合
⑥4月以降に取締役会にて、特定の事業の廃止を決定し、これらをもとに3月末時点で、固定資産の減損の要否を判断した場合、減損が必要と判明した場合
⑦3月中に売上げた商品の不具合が4月になって判明し、結果的に当社として100百万円、損失負担する可能性が極めて高いと判明した場合
⑧3月末で実質価額(純資産の持分)が30百万円として評価された有価証券が、4月末に倒産となり、清算配当もほとんどないことが明らかな場合
⑨3月末で簿価300百万円の上場株式の時価が120百万円のため、評価損を180百万円計上したが、4月頭に合併の発表があり、その後株価上昇し300百万円になった場合。
⇒ 各々どちらになるでしょうか。
ちなみに個別の状況に応じて、答えは異なると思いますが、説明文だけで判定するのであれば、
修正となるもの ⇒ ①、④、⑦、⑧
開示となるもの ⇒ ②、③、⑤.⑥、⑨
となるのではないでしょうか。
なお、⑤などは当初の見積が誤っていたということで修正ともいえますし、⑥も個別の状況によります。
いずれもの解答もあくまで一般論であり、実務上は様々な状況を総合的に判断することになりますので、ご留意ください。