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■有価証券報告書の分析 過年度遡及修正の分析

 過年度遡及修正基準が導入されて以降、基本的には基準に該当する事実が生じた時には、過年度遡及修正を実施していくことが必要になります。ただ、実務的にはどこまでやるのかというのが、非常に気になる点だと思います。

そこで、今回は過年度遡及修正の開示状況について、分析してみました。なお、データとしては少し古いので、利用には留意してください。

 

Ⅰ.調査対象

  • 2012年3月期 第1四半期告書提出会社2,517社の内、適用39社(調査対象の5%)
<会計方針の変更> 件数 原則(注2) 重要性(注3) コメント
たな卸資産の評価基準及び評価方法 5 1 1 影響額の算出方法を記載(2社)、
在外子会社の収益費用の換算基準 3 2 0 文書保存期間の記載(1社)
引当金の計上基準 1 1 0 店舗閉鎖損失引当金
収益及び費用の計上基準 3 3 0 影響額軽微(1社)
計上区分の変更 7 7 0 表示方法の変更として記載(2社)
ヘッジ会計の方法 1 0 1  
1株当たり当期純利益に関する会計基準の適用 9 9 0 潜在株式調整後1株当たり四半期純利益金額の算定方法
税金費用の計算方法(四半期特有) 5 5 0 年度決算と同様に
在外子会社のIFRS適用 1 1 0  
退職給付関係(簡便法→原則法) 1 適用誤りか?
合計 36 29 2  
<表示方法の変更>        
計上区分の変更 4 4 0 【表示方法の変更】項目を作成
合計 4 4 0  

 

Ⅱ.開示の重要性判断について

1.過去の誤謬の訂正

  • 12月16日現在、第1第2四半期報告書において、過去の誤謬訂正0件。一方、四半期報告書に対しての「訂正報告書」は提出されている(大王製紙㈱、オリンパス㈱、㈱ピーアンドビー、昭和ホールディングス㈱、等)
  • 重要性の判断は、二段階(ⅰ有報・四半報に記載するか否か、ⅱⅰで記載した場合、訂正報告書を提出するか否か)ではなく、従来と同様のⅱのみで検討か

2.会計方針の変更について

  • 重要性なく遡及適用せずとした会社数は2社のみ。ただし、適用するものの影響額は軽微とした会社数は3社(影響額不明)。

 

Ⅲ.所見

1.原則適用会社について

  • 原則適用会社数が多いが、累積的影響がない変更(計上区分の変更、1株情報等)が多い影響か
  • たな卸資産の評価方法の変更(5社)は、原則適用した会社は1社に留まっている。→受払い記録・データが保存されていない等、遡及適用が実務上不可能であるとして、原則適用できなかった会社は3社。

2.計上区分の変更

  • 会計方針の変更か表示方法の変更か、混同が見受けられた(両者とも遡及処理必要)
  • 四半報上、「表示方法の変更」がないことも一因か
  • 処理方法に変更なければ、段階損益を超える計上区分の変更であっても、会計方針の変更には該当せず(従来会計方針の変更として記載する会社多)
  • 追加情報で1件開示あり(遡及処理)

3.その他

  • 会計処理の変更等について、追加情報での開示は減少

遡及適用が実務上不可能な場合について、具体的な記載をする会社もあり、参考にしてもらいたいと思います。

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