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■流動?固定? 基本的な長短分類の考え方について

正常営業循環基準やワンイヤールールの関係など、会計上の流動固定の分類の考え方について(貸倒引当金の考え方なども含めて)

会計上、短期になるものは流動資産及び流動負債として計上し、長期になるものは固定資産及び固定負債として計上する必要があります。ではこの長短分類はどのようなアプローチと手順で分類するのが良いのでしょうか。

今回は、この長短分類に関する考え方を整理してみましたので、ご参照ください。

 

〇企業会計原則 注16

「受取手形、売掛金、前払金、支払手形、買掛金、前受金等の当該企業の主目的たる営業取引により発生した債権及び債務は、流動資産及び流動負債に属するものとする。」

営業債権債務→正常営業循環基準

「貸付金、借入金、差入保証金、受入保証金、当該企業の主目的以外の取引によって発生した未収金、未払金等の債権及び債務で、貸借対照表日の翌日から起算して1年以内に入金又は支払いの期限が到来するものは、流動資産又は流動負債に属するものとし、入金又は支払いの期限が1年をこえて到来するものは、投資その他の資産又は固定負債に属するものとする。」

営業債権債務以外の債権債務→ワンイヤールール

 

〇企業会計原則 注4 保守主義の原則

投資家からみると

流動資産と固定資産、どちらの資産が多い方が良いと考えるか

流動負債と固定負債、どちらの負債が少ない方が良いと考えるか。

 

〇財務諸表等規則 第15条 15-12  総資産の1/100等

第47条 47-6   負債及び純資産の合計額の1/100等

第32条 32-1-11 長期前払費用→金額が僅少の場合、長期で可

第52条 52-1-6  引当金,一部あっても、正確に算定不能→長期で可

 

〇具体例

リース債務、資産除去債務 ⇒ ワンイヤールール、但し、資産除去債務で分類が困難なものは長期でも可。

借入金・社債 ⇒ ワンイヤールール

貸付金 ⇒ ワンイヤールール 但し、短期貸付金を長期に含めることも可。

1年超の売掛債権(進行基準等)、貸倒懸念債権、破産更生債権 ⇒ 売掛は流動、懸念は状況に応じて、破産債権は固定が一般的。

1年以上製造から販売までに時間を要する棚卸資産 ⇒ 流動

長期前払費用・長期未払金 ⇒ ワンイヤールール、但し、長期前払費用に関しては流動を固定とすることも可。

評価性引当金(貸倒引当金・投資損失引当金) ⇒ 評価対象である資産に準じて、流動固定を分類

負債性引当金(ポイント引当金、製品補償引当金、役員退職慰労引当金) ⇒ ポイント、製品補償等 営業に関連するものは原則、流動。役退などは固定が一般的

繰延税金資産・負債 ⇒ 改正後は全て固定。

設備手形・営業外手形(受取手形、支払手形) ⇒ ワンイヤールール

いつ回収されるか不明確な資産(保証金等) ⇒ 固定

いつ解消されるか不明確な負債(実情に応じて) ⇒ ワンイヤールール

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