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実務上、思わぬ落とし穴となることがある第二次納税義務についてです。
第二次納税義務とは、ある納税義務者(第一次納税者)が税金を滞納しているような状況で、かつ、その納税義務者に所有財産が十分にない状態で、もし税務署が差押等の滞納処分を執行しても、なお徴収すべき額に満たないと判断された場合、その納税義務者と一定の関係がある者に対して、二次的に納税義務を負うという制度です。
具体的には、第二次納税義務は、国税徴収法に規定されている8項目となりますが、下記に簡単にまとめてみました。
(1)国税徴収法第33条 無限責任社員
合名会社又は合資会社が国税を滞納し、当該合名会社又は合資会社に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合には、合名会社、合資会社等の無限責任社員は、第二次納税義務を負います。
(2)国税徴収法第34条 清算人等
法人が解散し、当該解散した法人に課されるべき国税などを納付せず、清算人が残余財産の分配等をし、当該法人に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合、清算人又は残余財産の分配等を受けた者は、第二次納税義務を負います。
(3)国税徴収法第35条 同族会社
主たる納税者が同族会社の株式等を保有していて、主たる納税者が有する株式等について、下記(ⅰ)(ⅱ)の事由が生じていて、滞納者に滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合、同族会社は、第二次納税義務を負います。
(ⅰ)差し押さえた株式等を再度換価に付してもなお買受人がないこと
(ⅱ)差し押さえた株式の譲渡につき、法律若しくは定款に制限があり、又は株券の発行がない
蛇足ながら、法人税法第2条10号の同族会社の定義に該当するものをいいます。
(4)国税徴収法第36条 実質課税額等
納税者が実質所得者課税の原則等の規定により課された国税を滞納し、滞納者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合、下記(ⅰ)~(ⅲ)の第二次納税義務を負うべき者は、第二次納税義務を負います。
(ⅰ)所得税法第12条<実質所得者課税の原則>あるいは、所得税法第158条<事業所の所得の帰属の推定>あるいは、法人税法第11条<実質所得者課税の原則>の規定により課された国税につき、その国税の賦課の原因となっている収益が法律上帰属するとみられる者
(ⅱ)消費税法第13条<資産の譲渡等を行った者の実質判定>の規定により、事業上、対価を得て行われた資産の貸付けに課された国税について、当該貸付けを法律上行ったものとみられる者
(ⅲ)所得税法第157条<同族会社等の行為又は計算の否認等>、法人税法第132条<同族会社等の行為又は計算の否認>等の規定により課された国税は、これらの規定により否認された納税者の行為(否認された計算の基礎となった行為を含む)について、利益を受けたものとされる者
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以上