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■第二次納税義務 その② 

 

前回 ■第二次納税義務 その① の続きです。

参考:■第二次納税義務 その① は、下記のページへ。

http://www.i-kansa.com/?p=413

第二次納税義務とは、ある納税義務者(第一次納税者)が税金を滞納しているような状況で、かつ、その納税義務者に所有財産が十分にない状態で、もし税務署が差押等の滞納処分を執行しても、なお徴収すべき額に満たないと判断された場合、その納税義務者と一定の関係がある者に対して、二次的に納税義務を負うという制度です。

今回は、国税徴収法第37条からです。

 

(5)国税徴収法第37条 共同的な事業者の第二次納税義務

納税者の配偶者、その他の親族等が、納税者の事業の遂行に欠くことのできない重要な財産を有していて、当該重要な財産に関して生ずる所得が当該納税者の所得となっている、さらに、納税者が当該重要な財産の供されている事業にかかる国税を滞納していて、滞納者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合には、納税者の事業に係る国税につき、下記の※第二次納税義務を負うべき者は、第二次納税義務を負います。

※第二次納税義務を負うべき者

(ⅰ)納税者が個人である場合、その者と生計を一にする配偶者その他の親族で、納税者の経営する事業から収入を得ているもの

(ⅱ)納税者がその事実のあった時の現況において同族会社に該当する場合、その判定の基礎となった株主等

 

(6)国税徴収法第38条 事業を譲り受けた特殊関係者

国税の法定納期限の1年以内に、納税者が親族その他の特殊関係者(納税者の親族その他納税者と特殊な関係にある個人、同族会社等を含む)に事業を譲渡し、事業の譲受人が同一とみられる場所において同一又は類似の事業を営み、納税者が譲渡した事業にかかる国税を滞納していて、滞納者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合には、納税者の譲渡した事業に係る国税につき、納税者から事業の譲渡を受けた親族その他の特殊関係者は、第二次納税義務を負います。

 

(7)国税徴収法第39条 無償又は著しい低額の譲受人等

納税者が法定納期限の1年以内に、債務免除、無償・低額譲渡、その他第三者に利益を与える処分をし、国税の徴収が不足している原因が当該債務免除等の処分に基因していて、滞納者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合には、当該債務免除等をした滞納者の国税につき、当該債務免除等により権利を取得し又は義務を免れた者は、第二次納税義務を負います。

 

(8)国税徴収法第第41条 人格のない社団等

人格のない社団等が国税を滞納し、人格のない社団等に帰属する財産が第三者の名義になっていて、当該人格のない社団等に属する財産につき、滞納処分を行ってもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合には、人格のない社団等に帰属するとみられる財産で、第三者に法律上帰属するとみられる財産の名義人は、第二次納税義務を負います。

また、滞納者である人格のない社団等が法定納期限の1年以内に財産の払い戻し又は分配をし、滞納者に対して滞納処分を執行してもなお徴収すべき額に不足すると認められる場合には、人格のない社団等から財産の払い戻し又は分配を受けた者は、第二次納税義務を負います。

 

 

 

上記のように、第二次納税義務は、国税徴収法第33条から第39条まで又は第41条に規定する特定の納税義務者が国税を滞納し、かつ、それらの条に規定する要件を満たすことによって成立します。

なお、第二次納税義務が成立し、納付通知書による告知を行うことにより確定した後にその成立要件となった事実に変更があっても、いったん確定した第二次納税義務には影響がない(昭和47.5.25最高判参照)とされています。

 

会社の税金を個人が肩代わりすることにもなりかねない制度です。また、国税徴収法第39条の無償・低額譲渡や債務免除などで、実務上、思わぬ落とし穴となっている状況が散見されます。

以上

 

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