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指定管理者に選考されるには、財務安全性が不可欠になります。今回は、指定管理者の財務担当選考委員の視点で、指定管理者に求められる財務安全性について説明していきたいと思います。
ここで、指定管理者は指定管理期間にわたり事業を継続することは不可欠であり、そのためには財務安全性を確保する必要があります。では、財務安全性とはどのようなものであり、具体的にはどのように分析されるのかについて、一般的な分析指標等を中心に解説していきたいと思います。
財務安全性をはかる分析指標として安全性分析はありますが、安全性分析とは、企業の財産状況を中心に企業の短期及び長期の支払能力などを分析するための指標です。
つまり、その企業が短期的や長期的に事業継続(倒産しないか)の可能性をはかる一つの指標となります。
で計算されます。
これは、短期に支払う必要性のある流動負債に対して、短期に換金可能な財産である流動資産がどの程度割合であるかということをあらわした指標となります。一般的な考え方として、この比率が100%であれば、短期的な収入と支出が均衡している状況と考えられ、100%を切っている状況であれば、将来の収入(営業活動や投資、財務活動により)に短期的な資金繰りが頼っている状況といえます。
また、同じような指標に当座比率という指標があります。これは
(当座資産 = 現預金、売掛金、受取手形、短期に資金化できる有価証券など)
この指標も、基本的には短期的に考えた企業の支払能力の状況を示す指標ですが、棚卸資産など、将来の収入獲得に不確実性がある資産を除いた、より現実的な指標となります。この指標が100%を超えていれば、短期の資金に関しては仮に在庫が売れなくとも対応可能な状況といえることになります。
で計算されます。
企業活動をしていくためには、短期的には資金化されずに長期的に資金になる固定資産を保有する必要があります。これらを確保するためにも、通常は長期的な資金で賄うことになりますが、他人資本である負債より自己資本である純資産から賄えれば、それに越したことはありません。具体的には、この指標が100%以下となっていれば、長期に資金化されない固定資産を全て自己資本で賄っていることになり、安全性が高い状況と判断されます。
また、自己資本以外に他人資本を加えた指標として固定長期適合率がありますが、これは
で計算されます。
実際に設備資金などを全て自己資本で賄うことは難しいため、この指標が100%以内になっているということは、他人資本を含め長期の資金の均衡が取れているという状況と判断されます。
で計算されます。
この指標は、今の企業がどの程度自己資本で保っているか(返済が必要ないか)を示す指標です。今までの指標は、企業の短期的と長期的な支払能力の均衡状況を示す指標でしたが、自己資本の比率が高ければ安全性が高くなりますし、他人資本(負債)の割合が多ければ、安全性が低くなります。分かりやすくいうのであれば、規模に対して借金などが少ない会社は安全性が高いということになります。
ちなみに、この指標に関しては一般的には50%を超えていれば非常に安全とされます。
安全性の分析指標に関してなのですが、これらは一定以上のレベルを確保していれば、それ以上を求められる指標ではありません。また、これらの指標は実はこれらを意識した会計処理を選択すれば、一部の対策は可能となりますので、これらを意識してみてはいかがでしょうか。
以上