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■有価証券報告書の分析 セグメント情報の開示状況の分析

有価証券報告書内にて、セグメント情報なのですが、ご存知のとおり、諸外国の開示状況に合わせるためにマネジメントアプローチが導入されました。改正の趣旨として、単一セグメントが望ましくない点や、より実体にあった開示に変更するといった改正がありましたが、実際に皆様の開示状況はどのような状況なのでしょうか(2012年の時に調べた状況です)。

  1. 全体的分析

β:2011年3月期 有価証券報告書

γ:平成2011年4月1日現在の日経株価指数300のうち、「3月31日決算」、「日本基準を適用」の条件に該当する230社

  • セグメントの開示状況
開示状況 会社数 割合
開示している 217 94%
単一セグメントのため省略している 13 6%
合計 230 100%

 

  • 報告セグメントの種類別開示状況
事業セグメントを識別する方法 会社数 割合
製品・サービス別 166 76%
地域別 12 6%
会社単位 13 6%
混在型 26 12%
合計 217 100%

・製品・サービス別が約80%。その他に、製品・サービス別と地域別を混合して開示している会社もあり。

 

  • セグメント会計基準等の適用に伴う報告セグメントの異動状況

製品・サービス別、地域別を採用している会社について、2010年3月期有価証券報告書のセグメント情報(事業別セグメント情報および所在地別セグメント情報)との比較

報告セグメントの異動数 製品・サービス別 地域別
会社数 割合 会社数 割合
増加 31 19% 2 17%
減少 18 11% 1 8%
不変 108 65% 9 75%
その他(*) 9 5% 0 0%
合計 166 100% 12 100%

(*)前期は単一セグメント等だったが、当期セグメント情報を開示している会社8社、2010年4月に設立している会社1社。

  • 前期までと実質同じセグメント区分の会社が半数以上。…従来の事業の種類別セグメントは、マネジメント・アプローチの観点から見ても、同じ区分である事を意味している。

 

 

  • 報告セグメント損益の内容
報告セグメント損益の内容 会社数 割合
営業損益 182 84%
経常損益 15 7%
税金等調整前当期純利益 5 2%
当期純利益 5 2%
その他(*) 10 5%
合計 217 100%

(*)段階損益にのれんの償却額等の他の項目を加減算した損益を採用している会社等。

・営業利益を報告セグメント損益として意思決定等に用いている会社が80%超。

 

  • セグメント資産及び負債の開示状況(会社数)
セグメント資産 セグメント負債
開示している していない 合計
開示している 14 178 192
開示していない(*) 25 25
合計 14 203 217

(*)セグメント資産を開示していない会社では、セグメント資産を配分していない等、開示していない理由を記載。

 

Ⅱ.所見

マネジメントアプローチは、経営者がセグメントごとの意思決定を行う際に用いる財務数値をありのまま開示するという考え方。

→適切な開示により、投資者の目線を経営者と同じ位置に持っていくことが可能なので、積極的な開示も良いのではと、個人的には考えます。

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