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学校法人において、計算書類等の情報開示は必要なのでしょうか?実はあまり意識していないケースが多いと思いますが、必要なのです。これらは、私立学校法においては、以下のように定めがなされています。
(1)財産目録等の備付け及び閲覧(私法第47条)
ア 毎会計年度終了後二月以内に財産目録、貸借対照表、収支計算書及び事業報告書を作成しなければならない。
イ アの書類及び監査報告書を各事務所に備えて置き、設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人から請求があった場合には、正当な理由がある場合を除いて、これを閲覧に供しなければならない。
第一に対象となるのは、私立学校振興助成法対象法人だけではなく、全ての学校法人が対象となります。なお、個人立の場合には、学校法人ではないため基本的には対象外となります。
財産目録、貸借対照表、収支計算書、事業報告書及び監事による監査報告書になります。
様式参考例 別添1 で例示されています。平成25年11月において改正後の様式参考例が公表されているため、これらを参考に作っていくことが必要になります。
内訳表や附属明細表までは必要とされていません。また、注記や会計方針などの記載に関しても求められていません。
これらについては、文部科学省のHPにて様式(別添1~3)が例示されています。
なお、収支計算書に関しては、資金収支計算書及び事業活動収支計算書の両方が必要になります。
また、これらの情報開示書類をどの科目レベルまで情報開示するかという点については、特段定めが無く、各々の学校法人の判断に委ねられています。文科省の参考例においては、原則、最小限記載を要するものと考えられているものの、他方で詳細な情報開示も有用とする考え方もあるため、大科目までを表示するか小科目も含めて表示するかという点などは、各々の学校法人に委ねられることになります。
事業報告書については、法人の概要、事業の概要及び財務の概要に区分し作成することが適当であり、別添4のとおり記載する事項の例示を記載例として定めたので、各学校法人におかれては、これを参考としつつ適宜作成されたいこととされています。
監事の監査報告書が必要になります。なお、監事の監査報告書は改正により「法人の業務又は財産の状況」となっているため、留意が必要です。
閲覧対象者は、「当該学校法人の設置する私立学校に在学する者その他の利害関係人」であること。とされています。
具体的な例示としては、
・生徒や保護者
・学校法人と雇用関係にある者
・学校法人に対する債権者、抵当権者
等とされています。
つまり、近隣の居住者等は利害関係人に該当しないとされています。
なお、個別判断にあたっては、積極的な情報公開の観点から、柔軟に対応することが望ましいとされています。
正当な理由がある場合を除き、認められません。なお、正当な理由の例示としては、
・就業時間外の請求など請求権の濫用に当たる場合
・当該学校法人を誹謗中傷することを目的とする場合等、明らかに不法・不当な目的である場合
・公開すべきでない個人情報が含まれる場合
とされており、原則、拒否は認められておりません。
小規模法人に関しては、以下のように取り扱われています。
各学校法人におかれては、法律に規定する内容に加え、設置する学校や法人の規模等それぞれの実情に応じ、より積極的な情報提供に自主的に取り組むことが期待されること。
また、学校法人の規模や実情等が様々であることにかんがみ、各都道府県において所轄の学校法人に対して指導を行うに際しては、小規模法人に過度の負担とならないよう配慮されたいこと
以上