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■繰延消費税等の処理 別表十六(十) 20万円以上の控除対象外消費税等は全額損金参入できない?

資産に係る控除対象外消費税等が20万円以上の場合は注意が必要?

消費税は、原則支払った額を貰った額と相殺することにより申告をしますが、一定の条件の場合には、控除対象外消費税として消費税の申告上、控除できずに費用として損金参入することになります。

これら、控除対象外消費税等の内容については、控除対象外消費税をご参照ください。

 控除対象外消費税額等とは?計算方法、留意点などを解説 

なお、これらの控除対象外消費税も一定の要件に該当すると、繰延消費税等たるものになってしまいますが、これについて、解説をしていきたいと思います。

1.繰延消費税等が発生する場合

ここで、控除対象外消費税等は全額損金参入出来るかというとそうではないのです。具体的には(税抜処理が前提)、

・課税売上割合が80%以上

・棚卸資産に係るもの

・一つの資産に係る控除対象外消費税等が20万円未満のもの

で、損金経理をしているもののみが、控除対象外消費税等として、損金処理が出来ます。

 

つまり、これらに該当しない場合には、その期の損金には出来ず、繰延消費税等として繰延処理することが必要になります。

例)課税売上割合が80%未満で、かつ一つの資産に係る控除対象外消費税等の金額が20万円を超える場合などが、この繰延消費税等に該当することになります。

 

2.繰延消費税等の処理方法

これら、繰延消費税等に該当した場合、税務上の繰延資産として資産計上し、5年間で償却していくことが必要になります(注)。

注)償却金額 その期の月数/60ヶ月 但し、初年度1/2

税務上の繰延資産は、会計上の擬制資産となるため、会計基準を厳格に適用するのであれば、損金経理と行い、別表調整することになります。

なお、これら繰延消費税等が発生した場合、別表十六(十)なる別表を作成添付することが必要になります。

 

3.具体例での説明

何やら、難しい内容だと思いますので、具体例にて解説していきます。なお、会計基準を厳格に適用すると、損金処理し別表調整なのですが、今回は、資産計上を前提に解説していきます。

【例題】

①当期の課税売上割合 30%

②当期において、10,800千円(税込10,800千円)の固定資産を預金で購入した。

③消費税の処理方法は、一括比例配分方式。

(その他の前提 課税事業者 経理処理は税抜処理 消費税は原則処理 当期は12ヶ月)

 

・資産取得時の仕訳(単位 千円)

借方)固定資産   10,000  貸方)預金 10,800

借方)仮払消費税等    800

 

・繰延消費税等に振替する時の仕訳

借方)繰延消費税等  560  貸方)仮払消費税等 560

  • 800×(1-30%)

 

・当期の償却費を計上する時の仕訳

借方)繰延消費税等償却 56  貸方) 繰延消費税等 56

  • 560×12ヶ月÷60ヶ月×1/2

なお、次年度以降の償却費は 112

 

どうでしょう?

ちなみに、説例の中の繰延消費税等は長期前払費用あたりの勘定科目を使用するのが適切でしょうか。また、注記が必要になりますが、繰延消費税等償却は租税公課で処理することが相当といえるのではないでしょうか。

以上

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