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平成29年7月20日、金融庁は「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第一次報告)」を公表しました。
この報告書において、欧州における監査法人の強制ローテーション制度導入の効果等を注視するとともに、わが国において、監査法人、企業、機関投資家、関係団体、有識者など会計監査関係者からのヒアリング等の調査を行い、監査法人の強制ローテーション制度の導入に関する論点についての分析・検討を進めていくことが考えられるとのことが記載されています。
海外では、10年ごろから交代制導入論議が進み、欧州連合(EU)は14年に「原則最長10年」との規則を制定されており、ドイツ、イギリスなど各国で法制化が進んでいます。
現状、日本においては、監査法人のローテーションは法制化されておらず、監査報告書にサインする会計士については、従来からローテション制度がとられています。日本での監査法人のローテーション制度は、2006年の金融審議会公認会計士制度部会で検討され、①監査法人の交代により監査人の知識・経験の中断が生じうることや大手監査法人の数が限られ、現実的に交代が困難になるおそれがある等の観点から、その導入は見送られ、監査法人は交代させないものの、企業の監査を担当するパートナーを監査法人内で一定期間ごとに交代させることを義務付ける「パートナーローテーション制度」の強化がされることになりました。
担当できる期間は、大会社等の会計監査に係る業務執行社員は最長継続任期が7年、最短インターバルが2年とされています。さらに、大規模監査法人で上場会社を担当する筆頭業務執行社員等は、最長継続任期が5年、最短インターバルが5年とされています。
今後、インターバル期間の見直し、会計期間のカウント方法の明確化やインターバル期間中の関与の制限などの改正についても日本公認会計協会にて提案されており、独立性確保の切り札となる監査法人の交代制に関する導入が広がりつつあります。