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訂正報告書とは、大量保有報告書、または、変更報告書の記載に誤りがある場合や、記載が不十分であった場合に提出する書類です。 訂正報告書には、いつの報告書の訂正かを明らかにし、訂正事項について、訂正前・後が分かるように記載します。また、訂正報告書を提出する場合、EDINET提出書類としての有価証券報告書(四半期報告書)の訂正報告書と、TDnet開示書類としての訂正決算短信(四半期決算短信)をそれぞれ提出する必要があります。
金融商品取引法では、重要な事項の変更等を発見した場合、訂正報告書の提出が求められおり、一般的には過去の誤謬を比較情報として示される前期数値を修正再表示することにより解消することはできないと考えられているため、過去の誤謬に関しては、比較情報のみの修正(修正再表示)で対応することは、現状では想定されておらず、訂正報告書の提出が求められることになると考えられています。ゆえに、上場会社においては、当該不適切な会計処理の影響が重要であるときは、過去の財務諸表に係る訂正報告書を提出し、訂正後の情報を当期の財務諸表に係る比較情報に反映させることになります。
過去の誤謬があった場合、修正再表示を行うかどうかは、財務諸表利用者の意思決定への影響に照らした重要性の判断によります。つまり、重要性があれば修正再表示が必要となりますが、重要性がなければ当期の損益計算書で営業損益または営業外損益として一括処理することが認められています(遡及基準第35項、第42項、第65項)。
遡及基準は、重要性の数値には言及していませんが、重要性の判断は財務諸表に及ぼす金額的な面(金額的重要性)と、質的な面(質的重要性)の双方を考慮する必要があると記載されています。
「金額的重要性」には、損益への影響額又は累積的影響額が重要であるかどうかにより判断する考え方、損益の趨勢に重大な影響を与えているかどうかにより判断する考え方、財務諸表項目への影響が重要性であるかどうかにより判断する考え方があるとされています。
また、「質的重要性」には、企業の経営環境、財務諸表項目の性質、誤謬が生じた原因などによって判断するとされています。
重要性の判断について、遡及基準にはこれ以上の記載はありませんが、「金額的重要性」については、内部統制の評価における開示すべき重要な不備の判断基準である「連結総資産、連結売上高、連結税引前利益などに対する比率、例えば、連結税引前利益については、概ねその5%程度」の指標が一つの参考になると考えられます。
また、「質的重要性」については、
・企業の経営環境 →上場廃止基準や財務制限条項への抵触
・財務諸表項目の性質→引当金や繰延税金資産などの見積り項目
・誤謬が生じた原因 →故意によるもの、特に経営者が関与しているもの等が、一般的に質的な重要性の高いものと考えられます。