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従業員持株ESOPにおける開示(表示)上の留意点について

ESOP信託の表示上の留意点

ESOPといっても、色々なパターンがありますが、今回は従業員持株会に信託を通じて自社の株式を交付する取引(以下、当該ESOP信託と呼ぶ)に関して、会社計算書類や有価証券報告書などにおいて、どのような点に留意すべきかを解説していきたいと思います。

具体的に留意すべき項目などについては、次回以降に解説していきたいと思いますが、関連取引がある場合には、表示上、様々な箇所に影響を及ぼします。そのため今回は、何故様々な箇所に影響を及ぼすかという点について、当該ESOP信託の特徴も踏まえて、解説していきたいと思います。

 

1.自己株だけど自己株じゃない?

当該ESOP信託に関して、会計上の取り扱いに関しては、実務対応報告第30号「従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する実務上の取扱い」(以下、対応報告と呼びます)に説明があるように、原則、総額主義で処理をすることになるため、信託保有の株式は貸借対照表上、自己株式として処理されることとなります。

これに対して、会社法上の取り扱いとしては、例えば大東建託様の追加情報を引用すると、「これらの信託は所有する当社株式は、会社法上の自己株式には該当せず、議決権や配当請求権などの通常の株式と同様の権利を有しています。また、会社法上461条第2項の分配可能額の計算に際して、会社法上の自己株式は控除されますが、これら信託が所有する当社株式は控除されません。」とあるように、会社法上の自己株式にはならないというのが、一般的な見解のようです(個々の分配可能額の判断にあたっては、弁護士等の法律専門家にご確認ください。)。

つまり、当該ESOP信託の信託口保有の株式は自己株であって自己株でないという、極めて変わった特徴を持つということになります。

 

2.自身の借入ではない借入金が貸借対照表上に計上される?

対応報告における範囲に記載されている条件を前提(対応報告3(2)参照)にすれば、受託者は信託における金融機関等からの借入金により、信託にて企業の株式を取得することとなり、当該借入金の全額について、企業による債務保証が付されることとなります。

この場合も、会計処理に関しては原則、当該借入金を借入金として貸借対照表に計上されることになります。

つまり、企業にとっては自身の名義ではない保証している借入が自身の名義の借入金と同様に、貸借対照表に借入金として計上されることになります。そのため、表示上にも様々な箇所に影響を及ぼす可能性が出てきます。

また、一般的にはこのような信託契約は比較的長期になることが多いと考えられます。そのため、表示上も色々な面で影響を及ぼすこととなります。

 

いかがでしょうか。当該ESOP信託は先述のように自己株式と借入金という点で通常の貸借対照表に計上されている自己株式や借入金とは異なる特殊な面があります。 特に自己株式に関しては、表示上色々な箇所に影響を及ぼすことになります。次回は、計算書類の際に留意すべき具体的な項目について解説をしていきます。

次回の計算書類における具体的な留意事項については、以下をクリック

従業員持株ESOPにおける開示ー会社計算書類上の具体的留意点について

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